Meet Our People 09
パラリーガル(翻訳) 02
法学部政治学科卒業 2009年度 中途入所

世界や社会を先読みする、好奇心の尽きない仕事

翻訳パラリーガルとは私が思うに、好奇心が尽きない仕事です。契約書をはじめとする書類を切り口として、世のなかのさまざまな出来事や分野に触れることができます。

翻訳する対象は契約書や訴訟関係書類、ファイナンス関係の信託証書などの企業法務に関係するものから知的財産、独占禁止法、労働法に関するものまで、あらゆる分野におよびます。ここ1〜2年は継続開示関係書類の提出作業も割合が大きくなってきました。

AMTには、国内だけではなく海外にも多くクライアントがいます。私の担当する案件では、欧米のクライアントが多いですが、最近ではアジアの案件も増えてきました。クライアントのなかには経済ニュースの一面を飾るような大手企業も含まれ、そうした影響力の大きい企業が本国でリリースしたばかりの情報にいち早くアクセスできることは、翻訳パラリーガルの特権のように思います。その分だけ、社会や世界を先読みする面白さがあります。

指示どおり動くだけではない、自主性が尊重される働き方

私は法学部出身ですが、法律を専門的に学ぶだけではなく社会学や経済学などを幅広く学んできました。中でも語学を主体に学んできたことから、進路選択の際に語学を基盤とした仕事に就くことを考えていました。法律事務所で扱う翻訳文書というのはさきにお伝えしましたとおり、法律文書だけではありません。法律という軸はありますが内容は非常に多岐に渡るため、自分の好奇心が満たされるような業務だと判断し、翻訳パラリーガルの道へと進んだ次第です。

大学卒業後は別の法律事務所に入所しましたが、お世話になっていた先輩がAMTへ転所したことから興味を持ちました。「AMTでは翻訳パラリーガルに主体性や自主性が認められた働き方ができる」と聞き、その点に魅力を感じて私も先輩に続いてAMTに入所しました。

実際に働いてからもその印象は変わりませんでした。AMTでは弁護士から直接仕事を受けることができますが、翻訳パラリーガル自身が手持ちの案件のボリュームを自ら考慮したうえで、引き受ける仕事の分量を調整することができますし、引き受けた後にも状況に応じたスケジュールを組むことができます。また弁護士と密にやり取りすることができるため、それが結果的に翻訳するプロダクトの品質にも反映できているように思います。

翻訳業務と聞くと個人作業のように思われがちですが、実際にはチームで進めることが多いです。基本的にはクライアント(継続開示案件の場合は有価証券の発行体)ごとにチームが割り振られ、難易度やスタッフの経験値、繁閑状況によって業務配分が行われます。

翻訳パラリーガルの部署には「チューター制度」という新人教育制度があり、一定期間、先輩パラリーガルのそばで学ぶことができます。新人は、先輩から仕事の一部を分配され、できる範囲から徐々に業務を完遂できるよう配慮されます。翻訳パラリーガルという仕事で1人前になるためには、とにかく数をこなすことが求められますが、個々人に合わせたステップアップが望めます。

類推し、妥当な訳文を導き出す

一口に英語と言っても、契約書に用いられる法律英語はかなり特徴的で癖があるものです。日常的な英語からはかなり異なっていますから、初めて業務に携わったときは私自身、面食らいました。しかしながら、ある程度のパターンやフォーマットをしっかり学べば十分に対応することができます。

とは言いましても、言葉は日々新しく生まれますし、時代とともに用法や意味が変化していきます。日常的に用いられる単語でも、口語体と文語体でのニュアンスが異なるといったことも往々にして発生します。そうした理由から、この道に入っておよそ20年が経過した今でも、日常的に辞書を片手に単語を調べる日々を送っています。辞書から正解を得られない場合もしばしばで、そういった際には前後の文脈を読み込み、妥当な訳文として成立させるために骨を折ります。

仕上がった翻訳文書は、日本と海外それぞれの弁護士やクライアントの間で読まれ、関連する案件や事例についての大きな判断材料となります。誤解や間違いがあることは許されません。単語1つのニュアンスの違いが意思決定に影響を及ぼすことさえ想定されます。私たちはただ情報に触れるだけではなく、内容を深く、細かく読み込み、慎重に訳出することが求められます。

そうしたことから翻訳パラリーガルの素質として、丁寧さと正確さ、そして不明瞭な部分を残さずに適切な訳文を考え続け、それでも解決しなければ担当弁護士や先輩に問い、確認し、正しい訳文を導き出すための忍耐力と誠実さが必要かと思われます。もちろん常に英語に触れることとなりますから、言語への苦手意識がないことも欠かせません。時には迅速な対応が求められる案件もあり、スピードも重視されます。そういった場合にも、一定の水準より下回る訳文を提出することはあってはならない。私自身もまだまだ至らない点はありますが、日々精進できればと、目の前の業務に向き合っています。

日々の興味が業務につながる

翻訳とは「終わりのない仕事」なのかもしれません。技術を深めれば深めるだけいいものが仕上がってきます。また翻訳する対象あってこその仕事ですから、対象が変わり続けるうちは、翻訳という能力が完璧になることはないでしょう。

また、日々、世界や社会のさまざまな出来事に関心を向けておくことが、結果的に翻訳の腕を磨くことへとつながっていくようにも思います。ストイックに考えなくてもよいですが、社会や世界に対する関心事の少し先まで視野を向けると、自分の好奇心も満たされますし、回り回っていつか仕事に生きてくることになるかもしれません。業務が与えられたとき、何気なく目にしていたことがリアルな現象となって書類に反映されているのを見ることは面白いものです。

以前、とある継続開示関係書類の翻訳を受け持った際、ある国の国債の状況に関する記述を和訳する作業がありました。国債というのはその国がどういった状況にあるのか、政治や経済面は安定しているのか、この先どうなるのかといったことを読み解くことのできるソースです。この作業を通じて、その国の内情がよりリアルに感じられました。

翻訳作業を通じて一次情報に触れられるということは、マスメディアがとりあげないような情報にもアクセスできるということです。勉強にもなりますし、この先の世界がどうなっていくのか、まさに社会や世界の先読みができることが、この仕事の醍醐味だと思います。

※この記事は2022年12月時点の内容を基にしています。

パラリーガル(翻訳)の1日の流れ

09:00
始業
メールをチェックし、弁護士からの修正指示や、新たな翻訳依頼がないかを確認。
9:30
翻訳
以前から担当していた契約書の英訳を進める。
12:00
お昼休み
13:00
翻訳済み原稿のチェック
後輩や同僚が作業した訳文に訳漏れや誤りがないか、校正作業を行う。
15:00
アップデート作業
以前作成した翻訳原稿のドラフトがアップデートされたため、該当か所を反映する。
17:30
業務終了
明日の仕事の見通しを立てて、帰宅。
2003年
法学部政治学科卒業
2009年
当事務所入所、パラリーガル(翻訳)に

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