入所後、世の中にはこんなに多種多様な法律案件が存在するのか、と圧倒されました。各弁護士はさまざまな案件を同時に抱えており、秘書も担当弁護士全員の案件に携わります。新人の頃は案件の把握に四苦八苦しましたが、じっくり時間をかけていくと全体の流れを掴めるようになり、徐々に仕事に面白みを感じられるようになりました。
秘書という仕事は、弁護士が何を必要としているのかを先回りして考える判断力や、主体的に動く力が求められます。時には提案力が必要な場面も。ある大きな案件で資料のレビューをするにあたり、時間が迫る中効率の良い方法が見つからず、弁護士を始めとする関係メンバー全員で頭を悩ませていたことがありました。そこで、自分がかつて別件で使ったことのあるツールを提案してみたところ、無事に問題解決に至ったことがあります。その際にメンバーの方々から感謝していただいたことは、非常に嬉しかったですね。自分の中で大きな自信にもなりました。
AMTには、誰かが困っていると、皆で解決しようという雰囲気があります。先輩後輩関係なく「さっきのは素晴らしいサポートだった」と感心することも多々あり、それがまた勉強になるなど、周りに好影響を与えるので、結果的に良い連鎖ができているように思います。
育休明けは、仕事と育児の両立が想像以上に大変でしたが、担当弁護士や周りのスタッフがいつも気遣ってくださったおかげで、乗り越えられたように思います。子どもの発熱等で、急に保育園から呼び出しがかかった際は、周りに迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちで一杯でしたが、担当弁護士が「仕事はいいから、お子さんを優先させて早く帰ってあげて」といつも優しく言ってくれたことは、本当に有り難かったですね。また周りの秘書の方達も、休みの間にこれ以上ないくらいのサポートをしてくれたので、安心してお任せすることができましたし、皆さんにどれだけ助けられたかわかりません。今こうして仕事を続けていられるのは、そういった方達の支えがあってこそだと思っています。
現在、子育てをしながら働いているスタッフは、職種を問わず多数います。母親であるという共通項により、不思議と年次を超えた繋がりができるので、おかげで出産前よりもネットワークが広がりました。
ランチタイムには、育児の話で盛り上がることも多く、子育てのコツから、限られた時間での家事の工夫の仕方など、話題は多岐に渡ります。頼もしい仲間が大勢いるので、休憩時間に子育てのちょっとした悩みを相談したり情報交換したりして、同僚のアドバイスで一挙解決!ということもよくありました。業務からプライベートな部分まで共に励まし合える、そんな仲間と働くことができるのはとても有り難いことです。出産後も長く働きたい方には、恵まれた環境ではないでしょうか。
産休・育休を経て、再び弁護士秘書に戻った私の仕事に対する意識は、徐々に変わっていきました。毎日定時で仕事を終えて子どもを迎えに行くため、就業時間内は集中して仕事に取り組みます。それでも、秘書という仕事は自分でコントロールできない部分も大きいので、周囲の理解と支えは欠くことができません。
そんな中、周りのスタッフに掛かる負担を少しでも軽くしたいという思いから、普段からいざという時に備えておくよう心がけるようになりました。手持ちの仕事を早めに片付けておくのはもちろん、担当弁護士の動きから自分なりの予想を立てて、できるところは準備しておくなど、あらゆるシチュエーションを想定して対処できるように、アンテナを張り巡らす癖がつきました。これは同時に、秘書として先を読む力を鍛えることにも繋がった気がしています。
また自分の中で一番大きい変化としては、困っている仲間がいたら、積極的に声を掛けて何かしらで力になりたい、と以前よりも強く思うようになったことです。年次を重ねていく中でも、皆さんへの気遣いと感謝の気持ちを常に忘れずに、できる限り周りに還元していきたいですね。自分がこれまで培ってきた経験を後輩達に伝え、皆が気持ちよく働ける環境づくりに少しでも貢献できたら、というのが今の私の思いです。
※この記事は2018年7月時点の内容を基にしています。