私たちの事業再生・倒産グループが扱う案件の内容は、文字通り、企業の再生手続や倒産手続が中心です。ですから案件が始まると、手続に関する様々な書類の提出・受領に加え、従業員の方や関係者の方々からの電話対応に追われることがあります。会社が倒産したとなれば、取引先や従業員の方が、今後の取引やお給料がどうなるのか不安になり、慌てて電話をかけてこられるのも無理はありません。どのようなお問い合わせに対しても、落ち着いて受け答えをし、相手に合わせて適切に説明することを心掛けています。また、弁護士が回答すべき点については、自分の判断で回答せずに、お問い合わせの内容を丁寧に聞き取った上で、必ず弁護士にその内容を報告し、判断を求めるようにしています。このような線引きを的確に行うことも私たちの大事な仕事だと考えています。
事業再生・倒産に関わる案件では、電話対応は重要な業務です。初めのうちは、電話に苦手意識をもたれる方もいらっしゃいますが、徐々に慣れていただくことが、事業再生・倒産グループの秘書業務の第一歩かもしれませんね。
電話対応をはじめ、事業再生・倒産グループの秘書は、いろんな役職や年代の方々とお話しする機会が非常に多くあります。税務署などの役所の方々ともやりとりをしますし、一般の企業の方々からお問い合わせをいただくこともあります。ですから、相手を問わず、誰とでも円滑なコミュニケーションをとることが求められます。言い換えれば、苦手な人を作らないこととも言えます。
弁護士が法律面を広くカバーする役回りだとすれば、私は、秘書としてソフト面でフォローすることを意識しています。企業の再生手続や倒産手続を進める中では、経営者や従業員の方とのやりとりも多いのですが、弁護士と話したそうにされている方に気づいた時に、「もしよければ、弁護士とお話しされますか?」とご案内し、後日、「おかげさまで解決できました」と言っていただけることもあります。そのような時は、心からああよかった、と思います。よいアシストができるとすごく嬉しいですよね。
そうして周囲を観察しながら、この方は何をしたいのだろう、何を言いたいのだろう、と考えて動いていくことで、様々な立場の方々と弁護士のよい橋渡しができることをやりがいに感じます。それが、この仕事が続けられる理由のひとつかもしれません。
私は大学を卒業後、複数の法律事務所を経てAMTに入所しました。それぞれの事務所の雰囲気の違いなど、驚くことはいくつもありましたが、AMTについて特に驚いたのは、自分が担当する弁護士が関わった仕事が新聞の一面に掲載されることです。そのようにして、社会的にインパクトのある、影響力の大きい案件に、自分も弁護士をサポートする立場で関わっていることをあらためて実感すると、気が引き締まります。
また、企業の再建・倒産の仕事に関わることでいろいろな業界のことを学べる興味深さもあります。これまで担当してきた案件の中には、CD制作・販売業、アパレル・化粧品販売業など、生活に身近な業種もあり、一般的には知られていない業界の事情や生産から販売までの仕組みなどを知ることができました。自分が知らない世界に触れ、いろんな経験をさせていただけることもまた仕事の面白みです。
お伝えしてきたように、知らない世界、様々な立場の人との関わりが多く、その時々の状況に応じて柔軟な対応が求められる事業再生・倒産グループの秘書業務ですが、一人で抱え込まずに誰かに相談しやすい環境が整っているように思います。これはAMT全体の空気感と言えるかもしれません。特に私たちはマニュアルどおりにいかない対応も少なくないので「こんなことがありましたが、どう思われますか?」など、先輩、後輩問わず、日々の情報や意見交換も活発です。共有し、共感することで、楽になることもあります。
こうしたグループ内のよい空気感を継続させたいと近頃ますます強く思うようになりましたし、私自身、中堅とされる立場になりましたから、後輩が一人前に育つためのサポートを目標に、日々の業務に取り組んでいけたらと思います。
※この記事は2021年11月時点の内容を基にしています。