「多様」で「寛容」な組織で
働くということ

私は2005年入所で、2014年にパートナー弁護士になり、2015年からは弁護士のリクルーティングも担当しています。フレッシュな学生さんたちとお話していると、自分が就職活動をしていた頃のことを懐かしく思い返します。学生時代、国際的な仕事に憧れていた私は、総合商社なども魅力的に感じたりしましたが、大学時代のいろいろな出会いを経て、専門性と国際性の両方を兼ね備えた、国際案件を取り扱う弁護士を目指したいと思い始めました。就職活動中、国内大手や外資系の法律事務所をいくつか回ってみたところ、一番しっくりきたのがAMT。国際的な案件を多く扱っていたのと、国内総合法律事務所ならではの取扱分野の広さにも惹かれました。それから、採用担当者や働いている人たちの印象もよく、「ここなら自分がなじんでいけそうかな」と思いました。同時に、こちらの意見を尊重してくれそうな懐の広さも感じました。

実際、AMTは、多様性のあるプロフェッショナルの集団です。AMTの弁護士には、司法研修所の新卒入所者のみならず、中途採用の入所者も数多くいますし、パートナーや顧問として事務所に参画する人たちもいます。このような多様なバックグラウンドをもった人たちが、「ベスト・クオリティー」の仕事をするという、ただ一つ共有された価値基準のもとに結びついているのです。これは私がこの事務所を好きな理由でもあるのですが、AMTには、どんな経歴だろうが、どんな性格だろうが、弁護士としての能力や仕事の内容で、その人を評価しようという風土があります。このような風土が生まれたのには、米国弁護士が日本で設立した事務所が母体となっていたり、他の事務所との統合等を通じて積極的に外部から弁護士を受け入れてきたりという事務所の歴史的な経緯も関係しているかもしれませんね。変な「所内政治」とか、「派閥」などはありません。結果として、多様な人が集まり、それを受け入れる寛容さ、言い換えれば「風通しの良さ」が、組織をさらに進化させていく。それが事務所としての強みになっていると思います。

また、フラットな組織である点も特徴的です。有力者が権力を振りかざすような組織ではなく、例えばパートナー会議の場でも、シニアも若手もなく、事務所のあるべき姿について、皆で是々非々の議論をします。年齢や経歴に関係なく、その意見が合理的であれば、それが採用される。これは、パートナー会議のみならず、個別案件でのパートナーとアソシエイトとの間の議論や、弁護士とスタッフとの打合わせなどの場面で、事務所全体にフラクタルにみられる現象です。

引き出しの数がクリエイティブな提案を生む

私の仕事の中核的な分野はM&Aですが、入所してからすぐに決まったわけではありません。他の事務所では、新人のうちから決まった分野の仕事を担当させるところもありますが、AMTは違います。若いうちは多岐にわたる分野を経験できるのがAMTの良いところ。私も入った当初は、ファイナンス、労働法、独占禁止法など、さまざまな分野に取り組みました。そして2年目ぐらいからM&Aや一般企業法務が面白いと感じるようになり、徐々にそれらの案件が増えていきました。2008年には、パートナー弁護士から出向を勧められ、証券会社のM&A部署に所属することで、M&A漬けの毎日を1年間送りました。その後AMTに復帰し、M&Aの割合をさらに高めていったという流れです。それでもM&A一本に絞られたわけではなく、引き続き訴訟やファイナンスの案件も一定程度続けていました。

自分のこれまでのキャリアを振り返ってみて言えるのは、若い頃から幅広い分野を見ておいて良かったということ。例えばM&Aの取引の仕組みを考えている最中に、「ファイナンス取引では合同会社と匿名組合を用いた仕組みがあるが、これを応用できないだろうか?」といった具合に、過去の経験を応用して物事を考え、クリエイティブな解決策を提案できることもあります。特定の分野の仕事だけを担当していたら、こういったまったく違う分野からヒントを得た「気づき」はないかもしれません。引き出しの数が多い弁護士は、ここぞという場面で、「もう一つ」知恵を出すことができる点で、強い。その意味では、これは採用活動の際にも言っていますが、若い頃から、いろいろな分野を経験するのが大切です。

新人弁護士はどうやって仕事を得るのか?

新人のアソシエイト弁護士は、パートナー弁護士から仕事を振ってもらいながら実務を学んでいきます。私はパートナー弁護士なので、仕事をアサインする前には、「依頼者の期待に応えるための最適な布陣は?」ということを最重視しつつ、アソシエイトの育成を視野に入れてチーム編成を考えます。新人に限らず、各アソシエイトには2名のパートナー弁護士が「チューター」として教育係を務めていますが、やはり自分が「チューター」として担当しているアソシエイトに仕事をアサインすることが多いですね。あとは、所内のイントラネットを見れば、各弁護士の年次や、興味のある分野、繁閑状況などがわかりますから、「このアソシエイトはM&Aに興味があり、今なら時間もありそう。では、声をかけてみよう」といった感じでアサインもします。AMTの場合、部門や部署といった垣根はありませんから、パートナー弁護士は誰にでもアサインできるし、逆にアソシエイトは誰からもアサインを受ける可能性があります。ただ実際上、一緒に仕事することが多いのは、すでに述べた「チューター」を担当しているアソシエイトや、興味関心を示してくれた人ですね。AMTでは、定期的に若手アソシエイトの席替えを行っています。多くのパートナー弁護士と触れあうチャンスを与えることで、いろんな仕事のやり方を覚えてほしいからです。

チーム編成はいろいろで、「パートナー1名、アソシエイト1名」という案件もあれば、「パートナー5名、アソシエイト20名」体制で臨む大型案件も。マンツーマンなら直接指導し、大型案件の場合はチーム全体で新人の面倒を見ることが多いです。

世界を舞台に、自分だけの「輝き」を

先述したように、私は弁護士としての業務をこなしながら、リクルーティング担当として、弁護士の採用活動も行っています。弁護士が弁護士を採用するのは、この業界ではあたり前のこと。一緒に働くのは自分たちですし、法律事務所というのは、「人」が唯一かつ最大の資産ですから、事務所の将来を担う人材を探すことは、日常の業務と同等か、もしくはそれ以上に大事なことだと思っています。では、具体的にどのような人材を求めているのかというと、実は明確な基準はないのですよ。もちろん、コミュニケーション能力など、それなりの点は挙げようと思えば挙げられるのですが、究極的には、弁護士として「一緒に仕事がしたいと思えるか」どうかという点に行きつくのだろうと思います。

AMTには、本当にいろいろな人がいて、その誰とも仕事をする機会があります。特定の部門などの“縦割りのタコツボ”に入るのではなく、たくさんの先輩弁護士の仕事のやり方を身近で学びながら、自分がなりたい弁護士像を形作っていける。それがAMTの一番の長所。多様で寛容な組織であるAMTには、自主独立の精神で、他の誰にも似ていない、自分だけの「輝き」を追い求め続ける人が向いているような気がします。国際案件も多いので、入所後は、日本にとどまらない、世界を舞台に大いに活躍してもらえたらと思います。

戸倉弁護士の案件ポートフォリオ

主として企業の合併・買収、合併・買収に関連するファイナンス取引や紛争処理(株式買取価格決定申立事件等)、コーポレート・ガバナンスの分野を担当しております。証券会社のM&Aアドバイザリー部門に出向勤務した経験があり、上場企業の経営統合や株式非公開化案件等に多く関与してきました。企業側において敵対的買収の防衛に関するアドバイスのみならず、買付者・株主側に立って株主提案、プロキシー・ファイトのアドバイスを行うなど、企業支配権をめぐるさまざまな局面での経験があります。また、日本企業が関係するクロスボーダー案件にも多く関与しています。

男性

戸倉 圭太Keita Tokuraパートナー弁護士

2004年3月
一橋大学法学部(法学士)
2005年10月
当事務所入所

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