予備知識がほとんどないまま入所した私ですが、まずは新人研修を受け、その後、同じ部署の先輩の指導のもと、OJTで仕事を覚えました。法務局への書類の提出方法や、さまざまな案件に応じた具体的な書類の作り方を、実地で教わります。「なるべくいろいろな案件を経験して、早く一人前に」という方針で、成長に合わせてどんどん仕事を任せてくれます。登記はミスが許されない仕事なので、私が作成した書類を先輩が毎回チェックしてくれたのですが、赤ペン先生並みに、最初の頃は真っ赤か(笑)。かなり鍛えられました。
入所して実感したことは、皆が協力的で、お互いに助けあう気風が強いところです。案件が多すぎて新たな業務を引き受けられないときでも、同じ部署のほかのスタッフが代わりを申し出て、案件を引き受けてくれることがよくあります。また、登記パラリーガルは、経験を積んで独り立ちした後は、先輩の手を離れて仕事をすることが多いのですが、仕事でわからない部分があって困ったときは、すぐに近くの弁護士や先輩に相談できるのも、心強く思います。
登記の業務が必要となる案件は、1時間で済むようなものから、数ヶ月、もしくは1年単位の時間がかかるものまでさまざま。案件の内容、規模、スケジュールなどにより、担当弁護士を含む大小さまざまな規模のチーム編成で仕事を進めます。新聞などメディアに取り上げられるような、大型かつ複雑な案件を終えたときの充実感はひとしおです。国際案件も多く、国内有数の法律事務所ならではの仕事をしている充実感がありますね。
パラリーガルは弁護士の補助業務を行いますが、専門的な分野を取り扱うため、弁護士に指示されたことをただ忠実に行うだけではなく、こういう状況では何が必要なのか、自分の頭で考えながら仕事に取り組む必要があります。疑問に思ったことがあれば、すぐに六法などを確認します。そうして日々蓄えた知識、そしてさまざまな案件を通して得た経験は、確実に次につながっていきます。年々、案件が大型化・複雑化し、時には前例がなく、誰も考えたことのないような新規の案件まで担当しますので、専門分野をどこまでも深められるところが、この職種の面白いところでもあり、難しいところだと感じています。
研修やOJTで仕事の基本的な進め方は学べますが、最終的にどこまでスキルアップに努めるかは自分次第。日々の積み重ねが成果となり、ひいては自己成長へとつながっていくのだと思います。
12年間働いて経験値が増えたので、最近は、並大抵のことではたじろがなくなりましたね(笑)。前例のない案件が舞い込んでも、だいたいの方向性が予測できますし、解決策を提示できるようになりました。今後の目標は、仕事の確実性をさらに磨くとともに、より迅速に多くの案件を捌けるようになること。そして、自分がこれまで先輩から育ててもらってきたように、後輩をたくさん育成したいですね。事務所の規模が大きくなって案件数も増えているので、一人で仕事を処理できる人材を育てていきたいと思っています。
どういう人が登記パラリーガルに向いているのかというと、やはり「慎重な人」でしょうか。多少心配性ぐらいのほうが向いているかもしれませんね。「最後に帳尻を合わせればいい」という性質の仕事ではなく、「根拠のないことはしない」「人に説明できることを積み重ねていく」という業務だからです。
私たちと一緒に働いてくれる仲間が一人でも多く増えてくれたらいいな、と思っています。
※この記事は2017年3月時点の内容を基にしています。